ことばの重み

過去の話になりますが、研修の一つとして全く知らない会社で3日間働いたことがあって。タイミング悪く、社員が社長に怒られていた現場に遭遇しました。社長さんは温厚そうな方かと思っていたら、「ボケッ、死ね!早くやれ!」と罵声を浴びせていたんです。あれはユーモアでなくて、結構本気だったと思う。怒られている社員は「すぐやります」みたいなことを言っていました。他の社員は知らん顔。


僕は一気に萎えちゃって、仕事のやる気も失せちゃいましたよ。「何もそこまで言わなくていいじゃないか。」これを社長に言えればよかったけど、全く話したこともなく、お世話になっている身であるため、そんなことを言う勇気が出ませんでした。


言葉の持っている力って、とても強いと思います。人を励ましたり、勇気付けたり。感動的な言葉にもしばしば出会います。一方で人を傷つけてしまう。傷つけられた本人は精神的に、どんなにつらいだろうか。加害者に至っては30分もすれば、自分が言ったことさえも忘れてしまうでしょう。


そのあとで、社長は「おいボケェ、まだか。」という言葉を発していました。あなたは言葉の重みを全く知らない。そういう経験もしていなければ、感動的な言葉にすら出会ったことがないのだ。それは、とてもとても悲しく寂しい人の様にも思う。人の上に立つからには言葉でも引きつける力を持ってほしい、あるいは持たなければならない。そんなことを思い出して夜は更けていくのです。